『奸臣スムバト』の主人公の祖先スムバト?
『天幕のジャードゥーガル』 が話題のトマトスープ先生は『奸臣スムバト』という13世紀のグルジア・アルメニアが舞台のマンガを描いてもいる。13世紀なので、モンゴルが攻めてくるわけだが、時の女王はAOE2DEのキャンペーンで有名なタマルの娘、ルスダン。もうね、とっても馴染みがありますね。
でも主人公はアルメニア系のスィウニク領主オルベリアン家のスムバト。これはたぶん誰も知らないと思う。たぶんアルメニア人でも知らない。でもこの家、CK3ではちゃんと実装されている。1066年のスエニク伯爵領を見ると、シュニク家のスムバトというのがいる。名前も同じだし、これが祖先で間違いない。無能力なんだけど、大丈夫かな?
こんな人物、資料に残っていないので、たぶんランダム生成。でも、宗教が非カルゲドン派(ああ!大好きな単語だ!)の使徒教会になっているのは史実通り。301年に世界で最初にキリスト教を国教にしたのがアルメニアだからね。エチオピアより30年早い。え? ローマは392年って習ったでしょ?
と思っていたら、なんとこれはオルベリアン家とは無関係のシウニ王朝だった。987年から1170年の間存在したアルメニア人の独立国。 首都はカパンとあるから間違いなくこれだ。いくらなんでも短期間に統治者代わりすぎでしょ。中世は安定した世界だったという話はなんなのか。
話をオルベリアン家に戻すと、マンガによると、12世紀に反乱を起こして辺境に改易されたという話だった。
で、マンガ的には改易される前の領地、オルベニだが、そんな名前の土地はCK3にはない。ただ、遺跡自体は残っている。ここだ。
ゲーム内ではカルトリあたりの場所。ちなみに、1066年だとここはグルジア王家のバグラティオニ家が統治している。
グルジアとアルメニアは現代でも紛争中……ということはなく、むしろ良好だ。現在ではなんとアゼルバイジャンを含めた三国の協力関係が始まっている。2025年にはTRIPP(トランプ・ルート)という大規模インフラ計画が始まっているとのこと。
なお、1178年の開始ではシウニ王朝は当然、オルベリアン家もない。というのも、この年にイヴァネ・オルベリの反乱が終結しているからだ。CK3的には一族が滅亡しているという設定になっているようだ。
時系列で表すと
1066年時点 スエニク伯爵領をシュニク家のスムバトが支配(独立国シウニ王朝)
12世紀のどこか オルベリアン家がオルベニ(カルトリあたり)を支配
1178年 反乱を起こしたオルベリアン家がグルジアから追放される
12 世紀末 タマル女王がオルベリアン家を呼び戻す
オルベリアン家はゲーム内にはどこにもいなかった…
ちなみに、マンガでは敵役の宰相ザカリアン家も登場している。
マンガで登場する隣の領主ハグバキアン家というのはゲーム内にはないが、これも実在する家系で、プロシュヤン家とも呼ばれている。
ちな、マンガに出てくる女王ルスダンは語り役としてAOE2DEにも登場している。
このキャンペーン、ep1ではタマル女王がアルメニアのザカリアン兄弟に助けを求めに行く。ep2では元夫ユーリに対し再びザカリアン兄弟と一緒に立ち向かう話。ep3ではシルヴァンのためにシャルコムを解放する。シルヴァンはイスマイルのキャンペーンでも出てくるが、当時アゼルバイジャンを支配していたシルヴァン・シャー朝のこと。ep4ではシャダディード朝からアルメリアを取り戻すためにルーム・セルジュークと戦う。シャダディード朝は1191年に滅んでいるので時系列的にはおかしいかもしれない。ep5ではホラズム・シャー朝との決戦がある。これはタマルではなく、ルスダンの代の出来事なので、ちょっと創作が入っている。ホラズム・シャー朝の最後の王ジャラールッディーン・メングベルディーが相手だが、こいつはモンゴルによって一旦インドに追い出された後にまた戻ってきてグルジアを襲ったという歴史的経緯がある。ちなみに、ルスダンがオゴダイと話しているかのように語られるが、実際に会ったのはたぶんチョルマグンである。これはモンゴル2回目のグルジア襲来の時の話だと思う。
時系列で書くと
1220年(『天幕のジャードゥーガル』でトゥースがモンゴルに攻撃されたのと同じ年) ムハンマド2世を追いかけていたモンゴルがグルジアに南から入って北から抜けて行く。ギオルギ4世はこの戦いで死亡。モンゴルは撤退ついでにカルカ河畔の戦いでキエフルーシ軍を壊滅させる
1225年ごろ ムハンマド2世の息子ジャラールッディーンがイルデニズ朝を滅ぼしたついでにグルジアに侵攻。トビリシを陥落させる。
1236年、チョルマグン将軍がグルジアに侵攻、1238年に征服完了。
マンガではルスダンが無能だからモンゴルに侵攻されたみたいな展開だが、実際には過去ニ度にわたって侵攻を受けており、たぶん軍隊が残ってなかったんだと思う。
さて、1243年にモンゴル帝国イラン方面の総督アルグンが着任して、グルジア方面まで統括するようになる。このあたりから、『天幕のジャードゥーガル』でいま連載されている時点に追いつくわけだ。




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